、どこか遠くに隠れていた生き物たちが、いっせいに首をすくめて、それぞれのつぶやきを聞いた。
「高境が手を出した。こんどは青眸島と黒桀部の間が本当に死ぬのか?」
「二人が喧嘩をしたのは、三十年前に青眸島の少島主が殺されたときのことだな」
「変だ、変だ!!」
………
周囲が騒ぎ立てている間に、誰も気がつかなかったのは、高空で対戦している六位の中境のうち、黒桀部の側に属する一頭の中境豺人の眼が、わずかに翳っていたことだった。
間もなく、遠く青眸島の海域にいる周磊の一行は黒い豺の知らせを受け取った。
「殿、青眸島より高境無相蛇魔が、我が部高境と対戦しております!!」
このメッセージを見た瞬間、周磊の目は光り輝いた。もともと青眸島に現れたものは、二体の高境無相蛇魔が鎮座していたのだが、その黒部によって一頭が引き出された。つまり、今、この青眸島に残されている高境は、一頭だけになってしまったのだ。
隠された力を加えてもせいぜい二体、あるいは三体ではないかと思われるが、そこに連れ出された三十船部